3.5” ドロップ・ハンター
鋼材:銀紙1号、#1200ヘアライン仕上げ
ハンドル材:スタンダードクラス・デザートアイアンウッド
他:ニッケルシルバー・ヒルト、真鍮+ステン・ニューボルト、真鍮・ソングホールパイプ
鋼材の性質表などによると、銀紙1号はATS34より硬度や刃持ちは少し劣りますが、
HMS67やクロモ7よりは良さそうです。また、靭性や耐食性はATS34よりも
若干良いようなので、自分好みの性質です。価格もかなり安いですし。
しかし、いつも購入するところが、品切れ・入荷未定のままです・・・
ブレードはピカールと青棒でハンドル接着前と仕上がり前にもバフ仕上げにしましたが、
バフパッドを押しつけ過ぎたためかピンホールが出てしまい、ヘアラインに戻しました。
以前、ATS34のナイフキットでバフ掛けした際には、ATS独特?のスジ肌にはなっても
ピンホールはほとんど出なかったのですが・・・
ヘアラインも#1500以上のペーパーでムラのないラインを入れるのは難しく、
#1200でヘアラインを入れてからピカールでなじませています。
バフ作業の影響?か、峰側のストレートの鎬のラインが少しボヤけてしまいました。
フラットグラインドだと、べベルストップのラインはアールの先にストレートを設けず、
峰で終わるように決めたほうが良いですね(角度が浅いと鎬をハッキリ出すのが難しい)。
ブレードのヘアラインを入れる際は、普段は リカッソ→べベル の順で入れますが、
今回はぼやけた鎬を目立たせるためにべベルの後でもう一度リカッソを入れました。
ヒルトは今回は微妙にピン跡が見えますが、裏表で位置が合っているため、
あまり気になりません(やっぱりずれていると気になる)。
※穴あけ前にはボール盤のテーブルの垂直確認を必ずするようにしましょう。
確認してずれていたらテーブルの取り付け部にシムなどを挟んで垂直出しを。
また、ポンチを打っていてもワークの位置が微妙にズレていれば、穴の明け始めは
ポンチマークに沿いますが、奥に行くにしたがってキリのしなりで穴が斜めになる
場合があるので、穴を明ける前にキリのセンターがポンチマークに合っているかの
確認も重要です(小さい径は特に)。
ハンドル材に初めてアイアンウッドを使いましたが、マイカルタよりは削りやすいです。
名前で想像するイメージよりも「木」です。ちゃんとささくれも出ます。
ハンドルの接着時にファンヒーターで加熱しすぎたせいか、硬化後にハンドルとタングの
指掛け部分あたりに微妙な隙間ができたので、隙間にエポキシを塗りこみました。
ほとんど収縮しないといわれるアイアンウッドでも、熱により収縮してしまったので、
天然素材のハンドルには強力な瞬間接着剤か、エポキシの自然硬化を待つほうが良いと
いうことがわかりました。
この時期、自然放置では寒くてエポキシは硬化しないので、短い硬化時間のものでないと
暖房による硬化温度の維持が難しいでしょうね。
私の使用しているボンドは24h硬化型なので強めに加熱せざるを得ませんでしたが。
(24時間は暖房をつけっぱなしにできないので・・・)
しかし出来上がってみると、とても見た目や風合いが良いものですね。
ハンドルシェイプは少し薄めのコークボトル。
このサイズだと、もう少し中央の盛り上がりを前に延ばしたほうが良さそうです。
マイカルタのような等高線の目印がないので、シンメトリーは不安が残りますが
不自然でない程度には成形できていると思います。
気をつけて研磨していますが、ファスナーボルトはセンターのネジ部が
ステンレスのせいか、ナット部の真鍮との硬度差で削れ具合が違ってしまい、
注意して触ってみると微妙に盛り上がりがあります。
シュナイダーボルトのほうが、この点は良さそうです。
ハンドル左右で木目がかなり違いますがブックマッチの材を使用しています。
仕上げ前にエポキシの含浸を考えましたが、アイアンなら不要とアドバイスを受け
素仕上げにしました。
強度や経時変化の不安がある天然素材より、やはりマイカルタのほうが好きです。
今後はマイカルタ以上の価格だとアイアンウッドは購入しないと思います・・・