カウンター メイキング|のんびり趣味のナイフメイキング 忍者ブログ

のんびり趣味のナイフメイキング

たまにしかしていないナイフメイキングの備忘録として、 次回製作の参考のために記録していきます。 ※過去の記事内容は随時、追加・訂正等をしますが悪しからず。 また、不精者につき管理が不十分なので、コメントは見落としてしまう場合があります・・・

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ヒルトレスナイフの製作工程の構想

ヒルトレスナイフの作り方をイメージしてみました。

〇ブランク作製・外形削り・ボルトとヒモ穴の穴明け

〇エッジラインとタングテーパー罫描き
 テーパーの始まりはベベルストップの端・ショルダーの先から。
 

〇タングテーパー削り

〇ベベルストップ罫描き
 テーパーを削ると消えてしまうのでテーパーを削ったあとに罫描く。

〇ハンドル材接着面調整とファイバースペーサー接着

〇ハンドル材左右外形粗削り
 接着したスペーサーの余分を削り落とし、ハンドル材の左右の形と大きさを揃える。

〇ファスナーボルトとヒモ穴パイプの穴あけ
 ナイフメーカーズバイスでブレードベベル部分を挟みこみ、
 ハンドル材をタングにクランプして穴明け
 ブレードベベルを先に削ってしまうと水平の基準になる面がなくなる。



〇反対側ハンドル材も同様に穴明け

〇ハンドル材外形削り
 タングより一回り大きい程度まで外形を削りこむ。
 

〇ハンドル材前端面合わせ・仕上げ
 ハンドル左右の前端を一致させて面を仕上げておく。

〇ハンドル材厚み形状荒削り
 板厚のままだとボルトが深く入りすぎ、ハンドル成形時にボルト部分を削る際の
 機械使用による過熱でのハンドル材の焦げの恐れがあるので、ファスナーボルトの
 余分をカットできるよう厚み形状を削っておく。
 

〇ファスナーボルト段付き穴ぐり
 段付きドリルで適切な深さにボルト座面を穴ぐり。


〇ハンドル仮組み
 ハンドル材の組み上がりに問題がないことを確認。
 この段階ならハンドルの作り直しができる。


〇ブレードベベル削り

〇熱処理

〇ブレード研磨

〇ハンドル・ボルト・パイプの接着

〇ファスナーボルト・ヒモ穴パイプの余分を切り落とす

〇ハンドル削り

〇ハンドル研磨
PR

マイカルタの方向

ものずきさんのブログ(コメント欄)(2)で知った事実・・・
キャンバスマイカルタの織り目の向きは、ハンドルの背中と腹に
波模様が出るのがラブレスに多く見られるもののようです。

板材の段階での向きの判断は下図のようになると思います。

織糸が真っ直ぐなのが上下方向で、それに織り重なるのが前後方向。
上図だと赤矢印が前後方向です。

マトリックス・アイダ製、スリットゲージ

ヒルトの溝切りはヤスリで作業すると時間がかかるし、
なかなかピッタリには出来ません。
そこで私が使っているのがマトリックスアイダ製の
スリットゲージというもの。

製品には3mm、4mm鋼材用とありますが、ヒルトを作りたいナイフが
3mmピッタリ・4mmピッタリでない場合でも、スリットゲージと
ヒルト材の間にシムを入れて厚みを調整すれば対応できます。

まず、ヒルト材に罫描を入れます(下図左)。
罫書線にかからないように溝幅より1mmほど小さいドリルで穴あけ(下図右)。
 



次にスリットゲージにヒルト材を挟みバイスでしっかりとくわえます。
注意点としてヒルト材に傷がつかないように革などでバイスの口金を養生すること。
(イラストでは養生などは省略しています)
傷がつくとその面がゲージに当たるので、溝の幅の寸法が広くなってきます。

(ヒルト作成ガイド=スリット・ゲージのことです)




金鋸で底面の罫書線まで切り込みます。



反対側も同様にすると、アッという間に溝の荒加工ができます。
少し時間はかかりますが鋸刃は32山などの細かい刃を使うこと。
山が粗い刃だと、仕上がった時にも鋸目が残ってしまう場合があります。
(鋸刃の弾性でゲージ側へも刃が食い込むためだと思います。)



次にヒルト材の切りこんだ側がけっこう広がっていますので、
これをバイスで挟んで締め込み、元の寸法まで戻します。
寸法を確認しながら少しずつ戻します。
もし元の寸法より小さくなってしまったら、大きめの
マイナスドライバーなどで慎重に広げます。
ゲージがヒルト材自体の整形寸法にたよっているため、
きちんと寸法を戻さないと正確な溝幅寸法がでません。



 あとはゲージ面とツライチになるまでヤスリで根気よく仕上げてゆきます。

ヤスリに角度がつくとゲージに当たるので、仕上がり寸法直前までは
ゲージなしで作業するか、ヒルト材にシム(紙など)を敷いてゲージが
当たりにくいようにすると作業は早くなります。



ヒルトの底面に近くなってくると、なかなか寸法が出ないと思いますが、
これはヤスリの面のわずかな丸みのせいかもしれません。
ヤスリが大きいと傾けてもヤスリ面がゲージに届かない場合もあります。

(イラストではバイスは省略していますが、ちゃんと挟んで作業します。)



底面付近の寸法が出ないときは小さいヤスリで仕上げます。

ヤスリを小さくすればほとんど削れますが、それでも残ってしまう角部分は
ブレードの方の噛み合う側に丸みやC面をつけると良いと思います。


宣伝めいてしまいましたが、このスリットゲージは
ヤスリでヒルトの溝切りをされる方にはオススメです。
上手に使えば機械加工に負けない精度で溝が切れます。

ただし、注意して作業しないと切粉や削り粉が隙間に入り込み、
ヒルトの前面(仕上がって見える部分)に傷がつく場合があります。
その傷を消すために磨き込むとヒルトが細くなってしまい、
ブレードとヒルトの噛み合い部分に隙間ができます。

個人的にはブレード側は僅かに小さめに噛み合う溝の寸法を決めて、
後からヒルトの幅を削って嵌め合いを調整しています。

カイデックス ポーチシース

カイデックスでのポーチシース設計・製作で注意することなどについて。
※レザーでのポーチシースを設計・製作できる前提として記事をすすめます。

 

このカイデックスシースの構造はレザーのポーチシースを参考にして、
ナカゴとブレードを左右から挟み込むライナー2枚を使ったものです。

欠点としては本体とライナーの間にブレードが入る場合があること。
本体とライナーの間に入った場合、途中で止まるので入れ直せば良いのですが・・・
成形が上手くできれば、外れて入ることはあまりありません。

※ベルトループの先端を留める位置にこだわらず、本体サイドのボルトと
共締めにすれば、ナカゴを厚手の1枚にしてもっとシンプルなものにできます。
そのほうがヒートガンでの加熱成形も楽にできます。
また、ベルトループの先端を留めないクリップタイプでも良いのですが、
折り返した部分は意外と強度が落ちているようなので(開くと簡単に折れる)、
やはりベルトループの先端は留めたほうが良いと思います。


カイデックスシースの組立には分解可能にするため製本用の組みボルトを使用します。
ナットが底面にツバ付きのスリーブ状になっています(長さも選べます)。

私はカイデックスは2mm厚のものを使用しています(ナカゴ・ライナーも同厚)。


設計について
本体の設計はレザーの場合と同じですが、すこし注意することがあります。


1.センターからナイフを離す距離
本体をヒートガンで暖めて折り返した時に、ナカゴの厚みとカイデックスの弾性を
考慮して少し大きめにしていないと折り返したときに寸法が足らなくなります。
また、熱した状態で無理に引っ張ると、止め穴が変形したり位置がずれてきます。

ですので、上の図の点線間の寸法は
「ブレード厚み + ライナー厚み×2枚 + カイデックス成形時の余裕」
これをセンターで振り分けて設計してゆきます。
 
上の画像のように少しは隙間ができますので、このぶんを考慮するということです。
ナカゴにピッタリと成形できれば寸法の余裕は要りませんが、カイデックスは
暖めて柔らかくしても素材のハリは残るのでカクカクには成形しづらいです。
また、カクカクに成形すると角の厚みが伸びて薄くなり、弱くなります。


2.ベルトループの長さ
ベルトループを止める先端が、ヒルトよりポイント側、ブレードの範囲にあること。
サイドのライナーと本体の間にベルトループを止めるボルトが入るため、
ヒルトより後方だとボルトが露出してヒルトやハンドルを傷つけます。

3.ナカゴの幅など
ナカゴの幅は止めるボルトの頭の大きさを考慮してきめます。
まず、穴あけの位置はナカゴのナイフ側のラインにボルトの頭の寸法の半分と
3mm程度くらいの余裕を足した位置が良いと思います。
その倍の寸法をナカゴの幅の仕上がり寸法とした形状をデザインします。
※材料の切り出しの際は最終での削り代等を考えて大きめに切り出します。



ナカゴの形状はレザーの場合と違い、ロックのことは考慮しません。
ヒルトがストレートに通るラインでデザインします。
 
そして、ナカゴ(とブレード)を左右から挟み込むライナーですが、



設計・デザイン時は上の図のようにブレードにピッタリの寸法にしますが、
制作時はブレードバックが少し見えるくらいに上側を削ります。
上の図のままの寸法で作るとカイデックス成形時の丸みでブレードバックと
本体に必要以上に隙間が出来てガタつきが多くなります。
※成型時の丸みを考慮してライナーの角を丸くしても良いかもしれません。



製作手順
・各パーツを切り出す。

・ナカゴに穴明け。



・穴あけしたナカゴの穴をガイドにして片側のライナーに穴明け。
ベルトループ側のサイドライナーには水抜き穴も開けておく。

穴をひとつ明けたら組みボルトを入れて固定し、次に最も遠い位置の穴を明けます。
それにも組みボルトを入れて固定すれば、その後の穴あけがずれません。


・穴あけしたライナーの穴をガイドにして反対側のライナーも穴あけ。

・本体ベルトループ側のみライナーを合わせて穴あけ(水抜き穴も)。

・ベルトループ先端に穴明け。

・ベルトループを暖めて折り返し成形し、穴をガイドにして本体側にも穴あけ。

・ベルトループを本体側からボルト止め(ボルト頭が外から見えるように)。



・ナカゴとライナーを仮組みし、ライナーを暖めてブレードを入れて成形する。

このときライナーのヒルトに接している部分を開き気味にすれば、
ブレードが本体との隙間に入り込むのをある程度防げます。


・ナカゴとライナーをナットのみを入れて本体へ仮組みします。
ただしベルトループ側の端の穴はこの時点でナカゴ側からナットを仕込み、
本体裏(完成時のベルトループ側)からボルトで止めておきます。

・本体を加熱して成形し、抜き差しのアクションを確認します。

・仮組みしたナットをひとつずつ外しながらその穴をガイドにして
本体の反対側(完成時の表側)へ穴あけ。

・ボルトナットを組み込み、ナカゴ側の外形を削って形状を整える。

・分解し、各部のバリ取りなどをしてから清掃し、組み立てて完成。
 
画像のようにナカゴを止めるボルトのうちヒルトから後ろは
本体ベルトループ側だけ留めます。
全部を留めるとナイフの抜き差しができません。

分解する際は、まずヒルトから前のボルトとナットを抜きます。
ヒルトから後ろは、組みボルトのボルト側のみを外して、
本体を少しだけ開けば、ナカゴ・ナットごとゴッソリ抜けます。

ヒルト用溝切り

以前の記事と内容が重複しますが、ブランクのヒルト用の溝切りです。

1.ノックピン付きベベルストップガイドをタング側にセットする。
 このときガイドとブランクの間に薄い紙を挟んでズレを防止します。

2.タングの削れはじめのラインを引き、150mm等の小さいスケールを
 ベベルストップガイドに長辺を当てて、 短辺で溝の底のラインをけがく。
 ノギスのデプスバーを3mm程度に固定してブランクのエッジ側から
 スケールの短辺に当てて位置決めをしてけがくと、ブランクの表裏での
 罫書き線を一致させやすい。

3.ヒルト材を挟み、もうひとつのベベルストップガイドをセットする。
 下の画像のように挟めば、ノックなしのガイドでも精度が出ます。
 ※このとき、ヒルト材はペーパーで表面を磨き、100分の3mm~
  100分の5mm程度、厚みを薄くしておく。
  (このヒルト材はナイフには使わないので失敗したものなどを利用) 
 

ベベルストップガイドをセットし終わった状態。

この状態で金ノコを使って切り込みを入れます。
金ノコはバイメタルの歯数が多いものが滑りにくくお勧めです。

まず両側のベベルストップガイドに金ノコを当てながら切り込みを入れます。
切り込みの深さは底面より0.5mmくらい浅めにしておきます。
中ほどは適当に、底のラインを割らずに何本か切り込みを入れます。
肉が少なくなって金ノコで切れなくなったらヤスリで底面を仕上げます。
内角はピンにせず、適当にごく小さい丸み(0.5R程度)をつけます。

そして幅(横)面をベベルストップガイドに当たるまでヤスリで削ります。
セットしたときのヒルト材がはまるまで、ガイドを外さずに削っていきます。
ヤスリが滑るようになったらほぼ削れた状態になっていると思いますので、
削った幅の寸法を、セット時のヒルト材を入れて確認します。
ヒルト材が底面手前(R部分)までベベルストップのみの部分と同じ感触で
入ったら完成です。

CV-134の4.0mm板、8.0mm×3.0mmの溝で、
罫描き時間を入れて40分ほどで出来ました。


セット用ヒルト材を少し小さい寸法にするのは、ガイドをセットするときに
ネジを締めこんだ際にズレたりして僅かに寸法が大きめになることと、
組み付けるヒルトは前面を磨くため、ヒルト材の状態で寸法をあわせると、
磨いたときにヒルトが小さくなって、はめ合いが大きくなってしまうため。
はめ合いががキツ過ぎる場合は、ヒルトのほうを磨いてすり合わせます。

もしベベルストップガイドがずれたりして溝幅が大きくなった場合は
割り切って1サイズ上の10mmのヒルトを使うようにします。
または、通常はしませんがスペーサーをぐるっとヒルト後面に使う方法。
ヒルト用の溝を、さらにスペーサー分を削ります。
この場合は0.5mm以上の、少し厚めのスペーサーを使用すると
良いと思います(薄いスペーサーだと隙間に見えてしまいます)。

プロフィール

HN:
HILTS
性別:
男性

P R